ニューヨークは世界経済の中心地で、ファッション、観光、金融、グルメなど、あらゆる分野で世界の最先端を体験できる魅力的な都市です。
富裕層が住むイメージから、海外の不動産投資家にとっても魅力的な場所であり、常に多くの人々で活気に満ちています。
場所や利便性が優先されるニューヨークでは、中古物件も築年数よりも高い資産価値を持つ傾向にあります。
本記事では、ニューヨークへの不動産投資に焦点を当て、利回りを中心に解説します。
また、おすすめのエリアや注意点も紹介するので、不動産投資を考える方はぜひ参考にしてみてください。
ニューヨーク不動産の利回りの実態
ニューヨークの不動産市場は一般的に低利回りが特徴です。
日本国内で築浅のワンルームマンションを投資用不動産として購入する場合、一般的には5〜6%の表面利回りが見込める物件が多いですが、ニューヨークの不動産は2〜4%という低利回りの物件も珍しくありません。
そのため、利回りを重視した不動産投資にはあまり適していません。
ニューヨークはGDP世界第2位の都市であり、特にウォール街は世界有数の金融機関が本社を置く金融の中心地です。
また、ミッドタウンには国連本部や保険業界、不動産業界などの世界的企業の本社があり、政治やビジネスの面で世界経済に大きな影響を与えています。
そのため、ニューヨークは世界中から投資マネーが集まる場所です。
競争が激しいため、物件価格が高騰しており、高価な物件は利回りが低くなります。
したがって、ニューヨークの不動産投資においては低い利回りが一般的です。
ニューヨーク不動産投資のエリア別分析と評価
ニューヨークは、それぞれのエリアが独自の個性を持ち、不動産投資の成功においてどのエリアの物件を選ぶかが重要です。
この記事では、ニューヨークで不動産投資に最適なエリアをご紹介します。
マンハッタン(Manhattan)
マンハッタン(Manhattan)は、山手線の内側程度のサイズとされ、ニューヨーク州で最も人口密度の高いエリアです。
タイムズスクエアやセントラル・パーク、ブロードウェイなど、観光地として有名な名所が点在し、ウォール街や国連本部、コロンビア大学など、世界経済や教育の中心地もここに位置しています。
そのため、マンハッタンはまさに世界の中心地と言えるでしょう。
不動産市場も安定しており、2001年の同時多発テロや2009年のリーマンショック、新型コロナウイルスのパンデミックといった大きな出来事にも耐え、常に成長を続けています。
マンハッタンは、世界の投資家にとって安定した市場としての地位を築いています。
その象徴とも言えるのが、104戸のアパートメントとペントハウススイートで構成される高級マンション「432 Park Avenue(432パークアベニュー)」です。
また、「525 WEST 52ND STREET」は、ヘルズ・キッチン地区(ミッドタウン・ウエスト)に位置し、かつて小室圭さん・眞子さん夫妻が入居していたと噂されたことで有名になりました。
小室圭・眞子さん夫妻が暮らすと噂されるマンハッタンの一角でもあります。
クイーンズ(Queens)
クィーンズ(Queens)は、マンハッタンに比べて穏やかな雰囲気の住宅街が広がるエリアです。
このエリアは、空港へのアクセスの良さや優れた学区の評判から、ニューヨークの他の地域からの移住者が多くを占めています。
かつてはマンハッタンに比べて物件価格が抑えられていましたが、最近ではロングアイランド周辺の再開発により、人気の高いエリアとなりました。
不動産価格も上昇しており、注目すべき投資先の一つとされています。
ブルックリン(Brooklyn)
ブルックリン(Brooklyn)は、かつては工場や倉庫が林立するエリアでしたが、マンハッタンから多くのアーティストやデザイナーが移り住み、オシャレなカフェやショップが次々と誕生しました。
現在は、ニューヨークのトレンドを牽引するエリアとしてその役割を果たしています。
特に、ファッションや芸術に関心の高い若い世代向けに、タワーマンションの再開発プロジェクトが進行中です。
その中でも、DUMBO(Down Under the Manhattan Bridge Overpass)と呼ばれるエリアは、マンハッタンブリッジの下に広がる人気のウォーターフロントで、高級エリアとして多くの投資家から注目されています。
ニューヨーク不動産投資の注意点
ニューヨークへの不動産投資は、比較的リスクが少ないとされていますが、不動産価格、利回り、ローンの仕組み、不動産会社とのコミュニケーション、税金、為替など、国内の不動産投資と比較して、注意すべきリスクは幅広く存在します。
不動産価格が高い
ニューヨークの不動産市場は、アメリカの他の州と比べても高価ですが、安定した右肩上がりの価格上昇が特徴です。
2020年1月時点でニューヨークの不動産の販売価格の中央値が40万ドル台だったのが、現在は60万ドル近くまで、短期間で大きく価格が上昇しています。
このような価格上昇傾向は、キャピタルゲインや資産価値の向上を求める投資家にとって魅力的です。
また、賃貸市場も活況であり、インカムゲインも期待できるため、投資の多様性も確保されています。
固定資産税が高い
ニューヨークの不動産市場は、常に物件の需要が高く、物件自体の価格も高いですが、それに伴い固定資産税も高いことは見落とされがちなポイントです。
ニューヨークの固定資産税は、評価額の0.3〜1.3%に達します。
物件価格が高いため、固定資産税も必然的に高くなります。
不動産投資を考える際には、家賃収入だけでなく、固定資産税にも注意を払うことが重要です。
利回りが低い
ニューヨークの不動産市場では、販売価格の急激な上昇に伴い、表面利回りは約4%程度にとどまっています。
実質利回りも国内の不動産投資と比較して低くなっています。
ニューヨークは東京の一等地と同様に、物件価格が高く、管理費や固定資産税などの維持費用も日本よりもはるかに高額です。
そのため、利回りを期待しての不動産投資はおすすめできません。
ただし、ニューヨーク在住で英語が得意な方にとっては、アメリカの賃貸市場では個人間の契約も頻繁に行われており、自身で賃貸物件の管理を行うことで賃貸管理会社に支払う約30%の手数料を削減し、利回りを改善することが可能です。
一方で、日本在住の方や英語でのコミュニケーションに自信のない方にとっては、時差による緊急対応の難しさや日米間のビジネスや文化の違いによるトラブルや誤解を避けるために、賃貸管理会社に委託することが望ましいでしょう。
不動産会社とのコミュニケーション
日本とハワイの間には14時間(サマータイムは13時間)の時差があります。
時差が大きいため、不動産会社とのコミュニケーションが円滑に進まないことがあります。
また、アメリカ人のエージェントは日本語でのコミュニケーションができない場合も多いので、英語に自信のない方は必ず日本人が在籍する不動産会社をご利用ください。
これは物件を購入する時だけではなく、購入後の管理を委託する賃貸管理会社との付き合い方でも同じです。
ニューヨーク不動産投資で得られる節税効果
日本の税制においては、個人所得に関して、世界のどの国で所得を得た場合でも、日本での申告と納税が義務付けられています。
アメリカの確定申告では、賃貸収入に関連する経費や減価償却などを不動産所得から差し引くことが可能です。
過去には、アメリカの税制により、不動産投資からの収入に対して、損益通算を行うことで、赤字が生じた場合でも他の所得と相殺できる仕組みがありました。
しかし、令和2年度の税制改正により、国外中古物件の不動産所得に関する特例が廃止され、この仕組みが使用できなくなりました。
個人によるアメリカ不動産投資のタックスメリットが減少しましたが、法人は引き続きこの制度を利用できます。
ただし、不動産投資においては、タックスメリットよりも収益性が重要です。
節税できても、空室が続いて収入が得られない場合や、資産価値が下がるリスクがあります。
アメリカの不動産は、中古物件でもメンテナンスされていれば価値が上昇し、売却益(キャピタルゲイン)を期待できます。
また、、売却するまでの間は、家賃収入(インカムゲイン)も見込めます。
税制改正前は、アメリカの不動産を6年目ほどで売却すれば、トータル収支で十分に効果を得ることができましたが、現在でも多くの場合、10年以内に十分な投資効果を得られると見込まれています。
まとめ
本記事では、ニューヨークへの不動産投資に焦点を当て、収益性や利回りを中心に解説しました。
ニューヨークの不動産市場は、低リスクで安定した投資先として知られています。
市民の約7割が賃貸物件に住んでおり、賃貸市場は非常に活発です。
賃貸価格は年々上昇傾向にあり、全米でサンフランシスコに次ぐ2番目に高い水準となっています。
特に、家賃が最も高いマンハッタンでは、賃貸中間価格が3,000ドルから5,000ドルです。
安定した家賃収入を期待することができます。
また、物件価格が長期的に上昇しているため、キャピタルゲインや資産価値の増加にも期待が持てます。
ただし、物件価格の上昇に伴い、利回りが低下しています。
また、高額な固定資産税もデメリットの1つです。
税金に関しては複雑な部分もありますので、わからない点があれば専門家に相談し、早めの対応を心がけましょう。